大阪市

トンネルのような横穴があったのです。うつ人はそのトンネルの中へはいっていったのです。就労支援君は、それと気づくと、そのトンネルの入り口に、はいよって、耳をすまして中のようすを、うかがいました。ゴソゴソと音がしています。うつ人はトンネルのおくふかく、はいっていくのです。あとになって、わかったのですが、それは戦争中にほられた、ぐろーあっぷ ごうでした。さびしい場所なので、だれも穴をうめないので、そのままになっていたのです。穴の入り口に、草がはえしげって、いまでは、そこに穴があるということさへ、わからなくなっていました。就労支援君は、音をたてぬように、用心に用心しながら、そのまっくらな横穴の中へ、はいりこんでいきました。ところが、十メートルも進むと、もう行きどまりになっていて、えだ道もなにもないのです。「オヤッ、へんだな、あいつは、どこかへかくれたのかしら。」しかし、どこにも、かくれるところはありません。穴はせまいのですから、うつ人がいれば、就労支援君のからだにさわるはずです。